BL小説の感想を書き留めています。
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成澤准教授の最後の恋
【成澤准教授の最後の恋】
高遠琉加/高永ひなこ
(2010年1月 角川ルビー文庫)




純愛。
 本当にそんなものがあるんだろうか。なんの希望もなく、見返りも報いもなく、何年も何年も想い続けるなんて。
 あるなら、それを見てみたいと思った。この平凡な身体の奥に、そんなものが隠されているなら。
 きっと、ダイヤモンドみたいに硬くて綺麗な――




成澤准教授の最後の恋 (角川ルビー文庫)

フランス文学部准教授兼有名翻訳家の成澤は、強い雨の夜、非常階段で死のうとしていた蒼井を助ける。彼は馴染みの出版社の新米編集者だった。なぜかその時の思い詰めた表情が気になり、次の仕事を受ける代わりに、無理やり蒼井を担当に指名した成澤。厭世的で人との関わりを避けてきた自分とは違い、純粋で常に前向きな彼に、恋に堕ちたと自覚した成澤は、どうしても君が欲しいと、蒼井に想いを告げる。しかし、頑なに自分を拒む彼には、癒えない心の傷があると知り…。准教授×新米編集者の身も心も捧げる、最後の恋。

というわけで今年一発目の感想は高遠さんの新刊です。
奥付は2010年1月1日だけど、実際に書店に並んだのは昨年の年末で、自宅の大掃除とか御節料理の用意の合間に貪るように読みました。

年末にUPした【2009年に印象に残ったBL小説】のランキングにうっかり入れてしまいそうになってしまいましたが、高遠さんは既に「愛と混乱のレストラン」の完結篇でランクインしてたので「いやいや勿体無い!」と、すんでの所で思い留まりました。でも、かなりショックなお話だったです。

「准教授」という言葉は大学関係の方と接する機会がないという方には耳慣れない言葉ですが、以前使われていた「助教授」という言葉よりは、よりアカデミックな印象を受けますよね、wikiによると「准教授」と以前の「助教授」との違いはこんな感じらしいですよ。

『准教授は、「優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する」ことを職務としている。対して、現在の日本で廃止された職階である助教授は、「教授の職務を助ける」ことを職務としていた。
よく勘違い・混同されることであるが、「助教授」が「准教授」に変わったのではない。その最たる違いは学校教育法に定めるそれぞれの職務である。助教授の職務は研究への従事ではなく教授の補佐であって、教授から協力の要請があれば自分の研究よりもそちらを優先しなければならない。一方、准教授の職務は教授と同等であり、研究に従事することを優先させることができる。』

そんなステキな肩書きをお持ちの成澤センセイの恋のお話の感想は以下の通りです。
ネタバレあり(というか、ネタバレ全開)なので気になる方はリターンプリーズですー。
主人公の成澤の不器用な恋の落ち方に胸が切なかったです。
若くて、カッコ良くて、仕事も出来て・・・、しかも「センセイ」と呼ばれる職業の人々が持つ独特のプライドの高さ。「何一つ不自由がないのが退屈」とか世の中を嘗めてるとしか思えないけど、多分こういう人だからフランス文学とかを突き詰めちゃったりするんだろうなぁとも思ってみたり。

そんな成澤が惹かれたのは冴えない風貌の新人編集者の蒼井。

今まで気にも留めていなかった相手を意識するようになるなんて、些細な出来事でも十分なのに、成澤と蒼井の場合は「あらすじ」にもあるように、かなりドラマティック。というか、逆にそれくらい強烈なインパクトのある出来事がなければ成澤みたいな男には効かなかったかも知れませんが。

「運命の赤い糸」を信じていたセンシティブな子供は、その運命に選ばれなかったことに傷付き、ひねくれたオトナに成長してしまいましたが、そういう発想を持つこと自体、成澤がいかに「運命」を乞うていたのかが垣間見られます。

高校生の頃から叶わぬ恋を抱いて、未だに新しい恋をしようとしないという蒼井の「純愛」に興味を持った成澤は、蒼井の「純愛」を踏みにじってやりたいという意地の悪さと、そしてそれとは真逆の、そんな「純愛」を向けられてみたい、というこれまた勝手な思惑で蒼井を誘惑する・・・。

うわあ、ダメなオトナだあ・・・!

いや、違うな。オトナの手管で駄々をこねるワガママな子供ですね。

そんな成澤がどんどん蒼井にハマってゆく様子は、最初は「ざまーみろー」的な意味で小気味が良かったのですが、なんか読み進めるにしたがって、だんだん可哀相になってきてしまいました。

「自分を見ていて欲しい」「笑って欲しい」「側にいてくれないのが寂しい」

自分は恋になんか溺れてない!と必死に否定しようとしながらも、自分のこの状況は明らかに恋に落ちて振り回されている情けない男だ・・・ということだと認めざるを得ない、という葛藤。そんな成澤の苦悩をよそに、蒼井の本心は・・・。

蒼井が自分の「純愛」の正体を成澤に教える場面で鳥肌が立ちました。

成澤が不憫で。

高校生で心を止めてしまっている蒼井は、そういった恋愛ごと全てをシャットアウトして生きてきたわけで、当然、成澤の気持ちの変化とか、そういうのを一切気にも留めていなかった・・・という現実に、成澤と共に私まで、すごいショックを受けました。あうう。

成澤もね、蒼井には結構酷いこと言ったり、したりして来たんですけど。

でも、成澤は蒼井に優しくする為に蒼井を傷つけてたんですよね。自分で傷つけるしか口実を思いつけないという、無茶で不器用なやり方なんですが、それは成澤の歪な、でもちゃんとした愛の形だったのであって。

それなのに、蒼井の告白にはそんな愛はなくて、愛どころか成澤の気持ちすらこれっぽっちも関係なくて。故意にではなく、無意識だからこそ言える残酷な言葉の数々がざっくりと成澤を傷つける。

きつかったです。

その後、紆余曲折を経て両想いにこぎつける二人ですが。結局、成澤の負けだよなぁ・・・という感じ。同時収録されている「春惜月」ではその後のラブラブっぷりが披露されておりますが、やはり「成澤の負け」という感が払拭できずに(笑)

でも、それでいいのかなぁとも思います。成澤みたいに三十年以上もオレ様サイコー!とか思いながらも心にこっそり乙女を隠して生きてきた男は「恋なんて 最低だ。もうこれで最後にしたいね」という台詞通りに、最後の恋に振り回されて生きてゆけばいいと思いました。








高遠琉加 comments(2) trackbacks(1)
Comment








こんばんは。
先日はコメ&TBありがとうございました。
お言葉に甘えて、私もおじゃまさせていただきます。

>成澤が不憫で。
まさにこれ!
攻が可哀相で泣けた作品って、私にとっては初めてでした。
乙女なナルナルは、生涯蒼井には勝てませんね〜。
でもそんな、ちょっと情けないナルナルが好き(笑)

TB頂いていきますね♪
from. わにこ | |
わにこさんへ

コメント、ありがとうございました。
「ナルナル」のナルはナルシストのナル。

でも、乙女なナルナルはかなり私のツボでした。

攻が可哀相で泣けた作品・・・確かに、少ないかもしれません。
思わぬ発見をさせていただきました。

また、遊びにいらしてくださいね。
from. suzuya | |
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成澤准教授の最後の恋 (角川ルビー文庫)著者:高遠 琉加販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)発売日:2010-01-01フランス文学部准教授兼有名翻訳家の成澤は、強い雨の夜、非常階段で死のうとしていた蒼井を助ける。彼は馴染みの出版社の新米編集者だった。なぜ
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